参照:琉球新報(2019年1月19日付・朝刊)
参照:毎日新聞(2019年1月16日付・WEB)
どうも!おきアロハです!
2019年1月18日、沖縄県が揺れました。県民がこよなく愛する「オリオンビール」が買収されるという衝撃的なニュースが飛び込んできたからです。
買収を検討しているのは野村ホールディングスと米投資ファンドのカーライル・グループ。
野村HDは野村證券、野村信託銀行で知られる「野村グループ」で、カーライルは1987年に設立されたグローバルで展開する投資会社です。
近年、県外企業や海外企業が沖縄に進出あるいは沖縄の企業を買収するというは話はよく耳にしますが、まさかあのオリオンビールを買収するとは夢にも思いませんでした。沖縄県民全員が驚いたと思います。
この買収の話はオリオンビールの一部役員を除き社員は誰一人として分からなかったようです。
それではオリオンビール買収物語をまとめていきます。
野村HDとカーライル・グループとは
改めてこの2社の説明を簡単にします。
野村ホールディングス・・・国内最大手の投資銀行・証券会社。投資実績にハウステンボス、ガストやバーミヤンを運営するすかいらーくなどがあります。
カーライル・グループ・・・1987年にワシントン D.C.で設立。北米、南米、欧州、中東、アフリカ、日本、アジア、オーストラリアに31拠点。世界最大級で屈指の投資実績を誇る投資会社。投資実績にベビースターでおなじみのおやつカンパニーがあります。
野村HDとカーライルは何故オリオンビールを買収するのか
先日ビール大手5社が発表した「ビール出荷量」は14年連続で過去最低を更新しました。前年比で2.5%減少し、3億9,390万ケース(1ケースは大瓶20本換算)だったようです。
大手5社のシェア率
1 | アサヒ | 37.4%(9年連続1位) |
2 | キリン | 34.3% |
3 | サントリー | 16.0% |
4 | サッポロ | 11.4% |
5 | オリオン | 0.9% |
「ビール出荷量」が示すように国内でのビール販売は5社ともに苦戦を強いられています。ハイボールや日本酒、レモンサワーなど新旧のお酒が注目されビール出荷量減に影響しているのではないかと言えます。さらに人口減が進む日本ではこれ以上「ビール」の販売量は期待出来ないであろうと分析出来ます。
それにもかかわらず、何故2社は買収するのかということです。それはオリオンビールの「ビール事業」よりも「不動産事業」に可能性を見出しているという見解の方が強いです。
同社はオリオン嵐山ゴルフ倶楽部、ホテルロイヤルオリオン、ホテルオリオンモトブ リゾート&スパ等を展開し、ビール事業以外でも多角的に経営しています。
そのオリオンビールが持つ「資産」に注目したということです。沖縄県は観光経済が非常に好調で今後も大いに期待できます。それに伴い現在オリオンビールが所有する多くの不動産も今以上に大きな価値を生み出すことは容易に想像できます。
2社は沖縄県の観光経済に後押しされさらに価値がさらに上昇するであろうオリオンビールの所有物に関心があるということです。
しかし、これはあくまでも経済界の憶測であり本当かどうかは買収された後にしか分からない話です。

オリオンビールが買収されるメリット
では不動産事業に関心のある2社に買収されるオリオンビールにどのようなメリットがあるのでしょうか。同社は近年海外での販売に力を入れています。2007年度は総売上に対して県外・海外での構成比が7.5%だったのに対し、2017年度は23%まで上昇し、3倍以上にまでなりました。
国立社会保障・人口問題研究所よると沖縄県は2030年までは人口が増え続けるであろうという予測が発表されていますが、その先は県外のようにどんどん減り続けていきます。つまり、ビールを飲む人も少なくなるわけです。
そのような状況でのビール事業にはやはり限界があります。それゆえに海外展開が非常に重要なポイントになるわけです。
オリオンビールにとってどうしても手にしたい武器が「海外で勝負できる販売力」です。現在も台湾、北米を中心に展開していますが、今後もっと海外販売シェア率を高める必要があります。
そんな時に出てきたのが野村HDとカーライルだったということです。2社の力を借りて海外販売にもっと力を入れようと考えたのだと推測できます。
一沖縄県民としての想い
地元企業のオリオンビールが海外資本に買収されるという話はうれしくもあり、さみしくもあります。沖縄で産声を上げここまで成長し、本当に沖縄県民から愛された会社です。こんな会社は沖縄県内どこを探してもありません。
買収されてうれしいというのは、「夢がある」からです。小さな島で生まれたビールが世界に羽ばたくチャンスが今目の前にあるんですよね。人口減、ビール出荷量減の国内でいくら戦っても仕方のないことです。海外に力を入れるというのはビジネスで考えた時に正しい判断であると言えます。
10年後、20年後にバドワイザー、ハイネケン、コロナと肩を並べてオリオンビールが飲まれていたら沖縄県民として本当に幸せです。買収されるのはこのような夢が詰まっているんです。
一方で感じるさみしさとは何か。やはり地元企業ではなくなるということです。引き続き沖縄県内で製造されることになると思いますが、もうオリオンビールは沖縄のオリオンビールではなくなるんですよね。あくまでも形式的に変わるのであって、作っている人、想いに変わりはないので問題はな無いとは思いますが、何だかさみしい気持ちになります。
それはやはり沖縄県民から本当に愛されている会社であるからそのような気持ちになるんだと思います。
現時点で買収されるかされないかは未確定ですが、恐らくかなり高い確率で買収されると思います。さみしい気持ちは確かにありますが、沖縄で生まれたブランドが世界のブランドになれるよう沖縄県民として応援することが一番オリオンビールにとってもうれしいことだと思います。僕は引き続きオリオンビールを飲み続けます。
最後にBEIGNの「オジー自慢のオリオンビール」の歌詞を紹介します。ウチナーとは沖縄の言葉で「沖縄」、ワッターとは「私たち」を意味し、沖縄県民のことを指しています。
三ツ星かざして高々と
オジー自慢のオリオンビール
ビールに託したウチナーの
夢と飲むから美味しいさ
ワッター自慢のオリオンビール
世界に羽ばたけ!オリオンビール!カリー!
沖縄の情報、育児の情報を中心に書いています。趣味のカメラと映像の話も少しだけしています。