こんにちは!おきアロハです!
今回は沖縄の伝統芸能である「エイサー」が今も若い世代へしっかりと継承されている理由を紹介していきたいと思います。
YSPって知っていますか?
目次
そもそも沖縄の伝統芸能エイサーとは?
本土の盆踊りにあたる沖縄の伝統芸能のひとつで、主に各地域の青年会がそれぞれの型を持ち、旧盆の夜に地域内を踊りながら練り歩く。
一言で「エイサー」と言ってもその形態はいくつかに分類され、現在ほとんどの青年会が、大太鼓、締め太鼓を中心とした「太鼓エイサー」であり、沖縄県中部が最も盛んな地域と言われている。その中でも旧与那城町、旧勝連町で見られるエイサーは「パーランクー」という方張りの太鼓を用いたエイサーがほとんどで、締め太鼓とは違った雰囲気を醸し出す。
また、太鼓を使わない「手踊りのみのエイサー」もあり、本島北部にいくつか存在するが、これがエイサーの最も古い形ではないかと言われている。 近年では、エイサーの型を取り入れ、音楽はポップスを使用する等、衣装も独創的な「創作太鼓」のグループも数多く存在する。
沖縄全島エイサーまつり実行委員会オフィシャルサイト
「旧盆の夜に練り歩く」とありますが、沖縄では旧暦で祭事を行います。旧盆はウンケー、ナカヌヒ、ウークイの3日間あり、それぞれ下記の意味です。
ウンケー・・・お迎え(先祖をお迎えする日です。お盆の初日です。)
ナカヌヒ・・・中日(旧盆3日間の真ん中の日という意味です。)
ウークイ・・・お送り(先祖をお送りする日です。お盆の最終日です。)
今では夏のイベントやお祭りで盛り上げ役としてエイサーが披露されますが、以前はウークイのみでした。お盆で帰ってきた先祖は自分の世界に戻らなければなりませんよね。
どうやってあの世に戻すのかと言うと「エイサーの太鼓の音」です。太鼓を叩くことで現世にいる先祖を驚かしあの世に戻すんですね。
こうして文字に起こすと非常に乱暴なやり方に感じてしまいますが、これがエイサーの本来の意味・目的になります。
伝統エイサーと創作エイサー
エイサーには大きく分けて2種類あります。一つは伝統エイサーです。三線を演奏する地方(じかた)と呼ばれる歌い手の歌声に合わせて踊ります。地方は各青年会に4名程おり、非常に重要な役割を担っています。
使用する曲は沖縄の伝統的な民謡です。踊りは決してダイナミックなものではなく動きとしては小さいです。しかし、隊列移動が複雑で振付、バチの持ち方、足の上げ方など事細かく決まっており、「揃う美しさ」が伝統エイサーの特徴です。踊り手も格好良いですが、地方になりたいという人は結構多くいます。
一方、創作エイサーは「見せるエイサー」です。三線を使用する場合もありますが、使用する曲は伝統的な民謡ではなくポップな音楽です。創作エイサーはとにかくダイナミックに踊ることが求められ、見ている人も楽しめます。
振付は割とシンプルなものが多く、誰でも気軽に踊ることが出来ます。世界中に支部がある琉球國祭り太鼓という団体がありますが、最も有名な創作エイサー団体になります。
僕は伝統エイサーをしていたので伝統エイサーの方が格好良いと思っていますが、感性は人それぞれなので是非2種類とも見てみてください。

なぜ僕はエイサーをしていたのか
そもそもなぜ僕は伝統エイサーをすることになったのかということです。先ほどから「青年会」という言葉が出ていますが、まず青年会から説明します。
青年会とは10代から30代の男女が地域ごとに結成する団体を指しています。明確な入会手続きなどは存在していません。入りたければどうぞというような任意の団体です。
青年会は必ずしもエイサーをしているかというとそうではありません。各地域によって全く異なります。僕の住む地域はエイサーをしている地域でしたが、那覇だと旗頭、ある地域は棒術、またある地域は綱引きなどそれぞれの特色があります。
また、地域の伝統芸能活動以外にも廃品回収や清掃活動を行い、地域のために活動している団体です。
学生だと部活や塾、社会人だと仕事がある中で誰が青年会に入るのかという疑問が出るかと思いますが、「ある方法」で人が集まる仕組みが出来ています。それが今回のタイトルにある「YSP」です。

YSP(やっけーしーじゃーパワー)とは?
YSPとはやっけーしーじゃーパワーの頭文字を取った造語で、ここ最近よく耳にするようになりました。やっけーとは沖縄の言葉で「厄介な、大変な」などの意味があります。しーじゃーとは「先輩、年上」を意味しています。もうお分かりですよね。YSPとは「厄介な先輩による圧力」ということです。
青年会に所属するメンバーは中学時代にやんちゃしていた人が多いです。そのやんちゃしている人たちが恐れるのは先生でもなく、親でもなく、地元の先輩なんですよね。その先輩から「青年会に入れ」と言われようもんなら「はい」しか言えないんです。
エイサーがとても活発なある地域では「青年会に入るか、もしくはこの橋から飛び降りるかどっちか選べ」という1択しかない2択を出すやっけーしーじゃーもいるらしいです。これは本当に可哀そうですね。
僕は全然やんちゃでは無かったですが、エイサーをやるには人が足りないということで声がかかり見事「YSP」によって入会を果たしたということです。
青年会活動を通して気が付いたこと
エイサーの練習は月曜日から土曜日まで20時から0時までです。これがなんと本番までの約3か月間続きます。仕事が終わっての練習は本当に大変なんですよね。
いざエイサーをしてみたら楽しかったので僕は特に問題はありませんでしたが、本当に嫌々させられている後輩を見るのはとても辛かったです。
僕は生まれも育ちも沖縄ですがこれと言って沖縄出身であると誇れるものが無かったのでとても良い経験になりました。そして、一つ気が付いたことがありました。
YSPが無いと伝統芸能は継承されない
伝統芸能を継承していくことは生半可な気持ちでは出来ません。お金をもらうわけでもないですし、時間もかかります。何より本人の努力が必要です。僕は伝統芸能は守っていきたいし、継承していきたいと考えている方ですが後世に残すという事は本当に難しいことだと思います。
次世代が能動的に学びたいというのであればそれに越したことはないですが、必ずしも全員がやりたいというわけではありません。僕自身、YSPが無ければ絶対にエイサーをやっていませんでした。
YSPは僕の地域だけでなくほぼ全地域であります。皮肉なことにYSPはYSPを生産してしまいます。これが絶対的に正しいとは思いませんが、今の青年会が伝統芸能を継承していくにはこの方法しかなさそうです。
もし沖縄でエイサーを見る機会があれば是非その若者たちを応援してあげてください。学校、仕事、家庭など様々な事情を抱えながら精一杯伝統芸能を守って継承しています。
YSPは必要なのかな?
写真:名護市提供
沖縄の情報、育児の情報を中心に書いています。趣味のカメラと映像の話も少しだけしています。